捻挫残念最低

その日せいじは珍しく少々酔っ払っていたようで。
深夜2時過ぎ、雨が再び降り始める中、自転車にまたがり←違法、その上傘までさしたら違法のダブルになってしまうのでそれはやめておき、家路につく。
自転車を発進させて数十メートル、知らぬ間に目の前に電柱があり、突撃、転倒、呆然。
目の前に荷物が散らばる。呆然。カバンが半開きだった。荷物をかき集めて自転車を起こす。激痛。右足が痛い。とても。
やべーな。やべーなと思いつつも自転車を進める。やべーなと思いつつも空腹を感じたのかコンビニに寄る。片足ケンケンしながら唐揚げ南蛮弁当を買う。
家に着くも足をつけない。それでもやはり空腹なのかまず弁当を食べる。食べながら再び思う。
やべーな、折れたかな。
せいじはよく知っていた。骨は意外と簡単に折れるということを。
そしてさらなる危機なる状況があった。
翌日は朝から撮影だったのだ。
ようやく事の重大性に気付いたせいじは、弁当の手を止め病院に向かう。
酒と焼き肉臭を振りまく片足ケンケンの深夜の患者に当然面倒臭そうな医師。
折れてはいないんじゃないかな。エックス線写真を見ながらそう言う。
幸い骨は折れていなかったものの歩けないことには変わりはなく、翌日の撮影では多大なる迷惑をかけたことは言うまでもなく、観劇予定だった芝居もキャンセルし、久々の夏な天気の中、軽く落ち込みながら1日部屋を徘徊するせいじであった。
そして今こうして握る携帯から、とても大事にしていたストラップが千切れなくなっている事を知るせいじであった。
そしてさらに明日朝、自転車のロックチェーンがなくなっていることを知ることとなるせいじであった。

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