検診

お尻の穴を人に向けたり覗かれたりなんてことはそうそうないことであるが、マイクはその日、そうしていた。
その前の日、マイクは、朝おかゆ。昼おかゆ。夜はスープのみで、さらに下剤を服用していた。
なぜそんなことをしたかと言うと、腸を空っぽにするためだ。
なんのためにそんなことをしたかと言うと、大腸ガンの検診のためだ。
大腸ガンの疑いがあったのかと言うと、そうではない。
ただ、なんか、大腸ガンの検診を受けるという機会がめぐってきたのだ。
やれやれ、いつどんな機会がめぐってくるのかわかったもんじゃないぜ、これだからぁ人生てやつは面白いぜ。とマイクは、お尻の穴を医者と看護士に覗かれながら笑んでいた。
キレイな穴だね。痔の心配もないね。
ふっ、当たり前だぜ。
とマイクが余裕ぶっこいてたのはここまで。
数分後には、あまりの初体験に目を白黒させているのだった。
数分後、マイクが通されたのはレントゲン室。
お尻の開いた紙パンツを履かされ、台に横たわる。
穴にジェルを塗られる。管を入れられる。腸内で風船を膨らまされる。バリウムを流し込まれる。空気を流し込まれる。オナラしたくなりますが我慢してくださいと言われる。とは言われても多少のバリウムはやむなく漏れてくる。追加される。台が縦に横にと動き回る。同時に横向け、仰向け、うつ伏せろを繰り返させられる。腸内にバリウムが行き届いていく。やむなく逆流してくるバリウムもでてくる。我慢しろと言われる。追加される。
そんなこんなのレントゲン30分。
お疲れ様でした。
トイレに駆け込む。見事に純正バリウムのみが流れ出てくる。このまま他の人に流用してもいいくらい純正だ。
バリウムは固まりやすいのでと下剤を渡される。まだ仕事があるので飲むわけにはいかないマイク。腸内でバリウムが固まっている姿を想像してゾッとする。
検診結果は特に聞いてないマイクであるが(なんでやねん)、健康であることには間違いない。だってこんなに元気なんだもの。
と、マイクはたった1日の節制のリバウンドでドカ食いしていた。
食べながら彼は脳裏であの絵面を思い起こしていた。
そう、大腸のレントゲンにハッキリと写りこんでいた自分のかわいいおチンチンを。
おチンチンは、右を、向いていた。

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