北九州と男の子

P1080592.jpg
北九州芸術劇場リーディングセッションvol.22
「続・世界の日本人ジョーク集」
6日ほど前に、無事好評のうちに終えることができました。
下は13歳から、上は77歳。
世代からキャリアから、何もかもが違う役者たちが18人。
テキストも、戯曲でも物語でもないものを取り上げてしまったため、まずはそれを戯曲化するという通常より一工程多い羽目に。
そういった初めてづくしの要素で、稽古期間は5日間。
いつものように、いや、いつも以上にゴールの見えない挑戦ではありましたが、スタッフさん、役者さん、本当に皆が前向きに取り組み、
想像だにしなかった素敵な公演に行き着けたのではないでしょうか。
生演奏の音楽家、ショピンの田中馨くんも、それはそれはすんばらしい音楽を作り、奏で、作品の味わいをこれ以上なく深めてくれた。
たまにこうして東京から離れた土地で創作をすると、思ってた以上のいい刺激とエネルギーをもらう。
創作に対する純粋な初期衝動を思い起こさせてくれる感じがする。
今年はもう、表立った公演などはないが、月1で広島で講義などがあったりする。
たくさんお好み焼きを食べたいと思う。違うか。
そんなことを思いながらドングシャ降りの下北沢を歩いていると、5歳ほどの男の子が後ろから追いかけてきた。
「のぞえさんですよね?」
あまりの急な出来事に、何を言われているのかがよくわからなかった。
「え?」という言葉しか出てこない。
男の子はまた言った。
「ノゾエさんですよね?ファンです。」
やはり何を言われているのかよく分からなかった。
5歳の子に気に入ってもらえるような人物である覚えがあまりない。。
強いて言うなら映画かもしれないけど。
で、僕の口は咄嗟にこう言っていた。
「え、なんで?」
バカ正直にもほどがある。
いくら不測の事態とは言え、男の子はどしゃ降りの中、勇気を出して声をかけてくれたのだ。
その後は、急いで事態を消化し、握手とありがとうとバイバイをし、男の子は嬉しそうに雨の中へと戻っていったわけだけども、
いや、男の子、ごめんね、そしてありがとうね。
おじさんびっくりしちゃったの。でもおじさんとっても嬉しかった。ありがとうね。
帰り道、雨宿りする祭りの人々をよそに、僕の顔は確実にニヤけていた。
そして今後は、小さい子にも喜んでもらえるような作品も創りたいと、夢を膨らませているのであった。
Thank you boy.