母親と合流したダニエル(いきなりの改名)と父親は、三人連れだって、再び炎天下の岡山に繰り出した。
歩くこと十分弱、とある日本料理屋に着いた。
入ろうとしたその時、一人の正装した青年が店内から飛び出してきた。ダニエルは青年のその姿形に覚えがあった。
トニー・・!
それはダニエルの数少ない。従兄弟のトニーであった。
ダニエルには二人の従兄妹がいた。従兄妹と言えども、普通よりも少しの血の濃い従兄妹。
というのは、ダニエルの父親の弟と、母親の妹が結婚したからであった!なので、そんな叔父叔母の子である従兄妹は、普通よりも近い血縁ということになるのであった。
ダニエルの兄から、ダニエル、トニー、マリーとちょうど二歳づつ離れた四人の従兄弟。
四人はとても仲が良かった。従兄妹家族は岡山に住んでいたため、ダニエルたちが兵庫県に住んでいた時分はよく遊んだものだった。
天満屋の屋上が大好きだった。お小遣いをよくそこのゲーム機に費やした四人であった。ダニエルたちが東京に移ってからも、小学生の時分まではよく遊んだものだった。
東京ドームとディズニーランドでの思い出は特に強く記憶しているダニエルであった。投げるだけで魔球になるボールなんかは本当楽しかった。
そんな従兄妹のトニーと会うのは、なんと、20年ぶりとなるのだった!
お互い、やはりどこか気恥ずかしい。
そうして、店の奥。小綺麗な個室。叔父叔母とも20年ぶりの再会を果たすのだった!
交わされる握手の嵐!
飛び交う再会を喜ぶ言葉!
ダニエくん、変わったわ~。町ですれ違っても気付かないわ~。昔の、目がクリクリ髪の毛クリクリの印象が強いから~。昔は本当に可愛かったのに~。
・・・。
そして、
そんな劇的な再会劇を傍らで、どんと腰をかけ、静かに見ている紳士がいた。
そう、この会合の主役となる、スキンヘッドの紳士が。